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   法人成り メリット&デメリット


法人成り 失敗しない秘訣

法人成りの明暗を分ける 「わずかな差」 とは?



  個人事業では既にある程度の成功を収めているあなたにとって、更なる飛躍のためには、事業形態を個人事業から法人事業へと移行させる「法人成り」は、必須です!

  さて、法人成り代行を検討されているあなたに、税理士社会保険労務士から質問があります。果たして、これらは全て法人成りに際しての正しい選択なのでしょうか?
  • 法人成り最初の2年は、もちろん消費税は免税事業者を選択
  • 法人成りしても、年金と健康保険は、保険料の安い国民で決まり!
  • 法人成りにあたっては、片腕となる妻は、当然、役員で登記
  我々税理士や社会保険労務士といった専門家が判断すると、必ずしも上記のようになるとは限りません。法人成りにあたって、当たり前とされているこれらの常識に、実は大きな落とし穴があることを、あなたはご存知でしたか?

  なお、会社設立にあたっては「会社設立 3つの警告!」を、会社設立後の運営については「会社設立 成功の極意」を、それぞれご参照下さい。

 



会社設立 夫婦でやろう!

法人成りのメリット&デメリット


と題し、これから「法人成りのメリット&デメリット」についてご説明します。タイトルにあるように、モデルケースとして、奥様、両親、子供などの親族が事業専従者として働いている年商5000万円くらいまでの個人事業主を想定しています。テーマとして、

  1. 法人成りの税金上のメリット(給与について)
  2. 法人成りの税金上のメリット(給与以外)
  3. 法人成りの税金以外のメリット
  4. 法人成りのデメリット
  5. 法人成りの手続
という5つの項目を取りあげています。現在、個人事業主で法人成りを検討されている方、また、会社設立をして起業を予定されている方のご参考になれば幸いです。




その1 法人成りの税金上のメリット(給与について)



  個人事業者が法人(会社)を設立することを「法人成り」と云います。この話をよく聞きますが、何故、法人成りするのでしょうか?「俺も会社の社長だ!」と1人こっそり「ふむふむ」したい(多少はあるかもしれませんが・・・)だけではありません。それは、ズバリ、金銭的にお得だからです。

  もちろん、法人成りすることのデメリットもあります。しかし、それを大きく上回るメリットがあるのです。その中心となるのは、やはり「税金」でしょう。その他のメリットもありますが、税金上のメリットが群を抜いるのが現状です。

  まず、その税金上のメリットの中でも筆頭としてあげられる「給与」関係についてご説明します。まずは給与所得控除からスタートしましょう


1.給与所得控除


 利益に対して課せられる税金は、会社(法人)だと法人税、個人だと所得税という税法に従って、次のように計算されます。

@ 売上−費用=利益
A 利益×税率=税金

 では実際に、個人事業とサラリーマンを比較して検討してみます。個人事業もサラリーマンも共に個人が得た利益ですから、所得税法により計算します。

 個人事業の場合、売上(仮に3000万円とします)をあげるためには、商品を仕入れたり、宣伝をしたり、お店を借りたりと、様々な費用(仮に2200万円とします)が発生します。この売上と費用の差額が利益です。

 給与所得者(サラリーマン)の場合はどうでしょうか?会社からの給与が800万円であったとします。この給与を得るために、サラリーマンも背広を買ったり、靴を買ったり、自己啓発の通信教育を受講したりと、様々な費用がかかります。

 サラリーマンも個人事業者と同じように、800万円から背広や靴などの費用を差引いたものが利益となるのでしょうか?実はサラリーマンの場合、実際に背広などに要した金額ではなく、給与の金額に応じて、これに対する費用を一定の算式により自動的に計算することになっています。ちなみに、800万円の場合だと、200万円が費用とみなされます。

  この200万円のサラリーマンとしての費用を給与所得控除といいます。サラリーマンの費用は、実際に要した金額ではなく、みなし金額が費用となるのです。

 さて、ここからが本題です。「個人事業を法人成りして会社設立をし、自分の会社から給料をもらう」という形にした場合、どうなるでしょうか?個人事業から法人に形態を変更しただけですから、売上3000万円と費用2200万円はもちろん変わりません。ここで、法人の利益3000-2200=800万円を自分に対する給与(法人の費用となります)として支払ったとします。法人の利益は0円、個人としての利益は、前述の給与所得控除が適用されて、800-200=600万円となります。

 つまり、個人事業を法人成りするだけで、利益を200万円も圧縮することができるのです。800万円に対する税金は約188万円ですが、600万円であれば126万円です。この差はなんと62万円!この給与所得控除の方法を使っての利益圧縮が、法人成りの最大のメリットと云えるでしょう。


2.所得の分散


 個人が対象となる所得税や住民税は、所得金額が多くなると税率が高くなる累進課税制度です。このため、1人で多くの所得を得るよりも何人かに分散したほうが、税率が低くなる分、税金の合計金額は少なくなります。

 例えば、個人事業主が1人で800万円の所得を得た場合、その税金は約188万円になります。これに対し、400万円ずつ2人で合計800万円の場合は、2人分の税金は約133万円となり、その差額は55万円です。

 さらに、所得が800万円の個人事業主が1の給与所得控除と2の所得の分散を併用すると、2人分の税金は約73万円となり、 なんと115万円もの節税が可能(188-73=115)となります。

 個人事業でも家族に給与を支払うことは出来ます。しかし、年齢や働き方に条件があったり、これを事前に税務署に届けておかなければならないなど、多くの制約があります。これに対し、法人であれば、このような制約を受けることなく、自由に給与を支払うことができるのです。


3.所得控除


 所得税や住民税は、売上から費用を差引いて算出される利益にそのまま税率をかけて計算するのではなく、社会生活上必要となる経費などを差引いたものに税率をかけて計算します。この経費を所得控除といいます。

 所得控除には色々ありますが、代表的なものに、ご主人が奥様や子供などを養っている場合の配偶者控除(一般的に38万円)や扶養控除(一般的に38万円)があります。所得金額が500万円の場合、所得税等の税率は30%となりますが、配偶者控除38万円と扶養控除38万円との合計76万円の適用があったとすると、税金は76×30%=23万円少なくなります。

 残念ながら、個人事業主が奥様や子供に給与を支払っている(事業専従者)場合、この配偶者控除や扶養控除の適用はできません。しかし、法人を設立して奥様や子供がその法人の社員として給与の支払を受けているのであれば、話は違ってきます。

 給与の年間支払金額を103万円以下にすると、個人事業の場合とは異なり、ご主人には、配偶者控除や扶養控除をそのまま適用することが出来ます。その分だけ、ご主人の税金は少なくなる訳です。


4.退職金


 退職金は普通の給与と違って、税制上の手厚い優遇があります。同じ2000万円の支払を受けても、給与としてであれば、税金は約700万円にもなりますが、退職金として受取るとなると、税金はわずか39万円(勤続30年の場合)にしかなりません。

 残念ながら、個人事業主の場合、このお得な退職金の適用はありません。自分で自分に退職金を支払うという考え方が税法上ないからです。さらに、事業専従者として働いている奥様や子供にも退職金を支払うことは出来ません。

 しかし、法人成りして会社を設立していれば、これが可能となります。法人から社員である自分や奥様や子供に対して退職金が支払われるという形になるからです。



  個人事業を法人成りすると、給与の計算の仕方を通じてかなりの節税が可能となることを、1〜4の事例説明でご理解頂けたかと思います。個人事業の法人成りに興味が湧いてきたのではないでしょうか?




その2 法人成りの税金上のメリット(給与以外)



 「その1」では、税金上のメリットの中でも筆頭としてあげられる「給与」関係についてご説明しました。「その2」では、給与関係以外の税金上のメリットのうち、特に影響が大きいものを厳選してご紹介します。


1.役員社宅


 個人事業の場合、専用の事務所や店舗が別にあり、自分が住んでいる住居は事業に使用していないと、住居費は税金計算上全く費用になりません。しかし、法人の場合だと、取扱が異なります。

 法人が直接大家と契約し、これを社宅として社長に貸付けます。社長は家賃の半分(最低でも約20%)を法人に支払えば税務上の問題はなく、その差額(家賃の50%〜80%)は法人の費用として処理することができます。

 支払家賃はそれだけでいいの?という声も聞こえてきそうですが、役人が都心の一等地に格安の家賃で住んでいるのは有名な話です。サラリーマンの特権ともいえるでしょう。理屈はこれと同じです。

 仮に家賃が15万円だとすると、年間で15万円×80%×12ヶ月=144万円もが法人の費用となり節税が可能となる、ということです。


2.出張手当


 会社では、出張すると一日いくら、といった出張手当が出張者に支給されます。もちろん、この出張手当は会社の費用となり、消費税法上の課税仕入として仕入税額控除も適用されます。

 しかも、受取った社員の側では、出張手当に対して税金や社会保険が全く課されません。つまり、支払った法人も受取った個人も共に節税が可能となり、大変重宝する便利な代物なのです。

 仮に出張手当が一日2万円で年間10日の出張があったとした場合、2万円×10日=20万円が法人の経費となり、かつ、一切の税金等が課されない20万円の手当を個人は手にすることが出来るのです。

 では、個人事業の場合ではどうでしょうか?残念ながら、個人事業では、自分が自分に出張手当を支払う、という考え方がありません。会社設立をしてこそ、この出張手当の取扱は可能となるのです。

 ただし、就業規則において出張規定を作成し、役職や距離に応じた出張手当を予め決めておくなどの幾つかの事前準備が必要となります。


3.保険料


 個人事業であれば、どれだけ生命保険料を支払っていたとしても、最大で10万円(生命保険料を一般分と年金分それぞれ10万円以上ずつ支払った場合)が所得控除(税金計算上の費用)となるだけです。

 これに対し、法人が契約者、社員(役員を含む)が被保険人、法人が保険金受取人、という定期保険契約を保険会社と締結すると、その全額が法人の費用となります。

 20万円以上支払っても最大10万円しか費用にならないのと、その全額がそのまま費用になるのとでは、保険金額が大きくなればなるほど、その差を見過ごすことは出来ません!


4.慰安旅行


 日頃仕事に協力してくれた家族を慰安のために旅行へ連れて行っても、個人事業の場合、この旅行代金は事業の費用とはなりません。

 これに対して法人の場合だと、旅行期間は4泊5日以内、旅行費用は1人10万円以下、などの一定の条件を満たせば、法人の福利厚生費として処理することが出来ます。

 ただし、実家への帰省などは社員旅行とは認められず、また、手配関係も法人名義にしておく、などといったことに気を付ける必要があります。


5.欠損金の繰越控除


 その事業年度が赤字になった場合、その赤字額を翌年度以降の費用として処理することが出来ます。例えば、70万円の赤字になった年の翌年に100万円の利益を計上したとすると、100万円から70万円を控除した30万円をその年の利益として税金を計算します。

 この欠損金の繰越控除という制度は、個人事業にも法人にもあります。しかし、個人事業の場合は、3年間しか繰越すことができません。これに対し、法人は7年間繰越すことが可能です。

 多額の赤字が出た場合、個人事業だと、繰越せる期間が3年間に制限されているため、その全てを控除できないかもしれません。しかし、法人であれば7年間繰越すことができるので、その危険はぐっと少なくなるのです。


6.消費税


 事業者は、本来、売上に伴って消費者から預かった消費税を国に納付しなければなりません。しかし、消費税の免税事業者に該当すると、売上に伴って預かった消費税を国に納付する必要がありません。

 現在は消費税法が改正され、2年前の売上高が1000万円を超えていると消費税の納税義務者となり、消費税を納付しなければならなくなりました。この改正でかなりの事業者が消費税の納税義務者となったはずです。

 しかし、個人事業者が法人成りして、資本金1000万円未満の会社設立をすると、最大で約2年間、消費税の免税事業者になることができます。2年間にわたって、消費税を国に納付する必要がなくなるのです。

 売上高が大きいと、この特典は見過ごせないはずです。


7.決算期の変更


 個人事業者の場合、税金の計算期間は1月1日から12月31日と定められていて、これを変更することは出来ません。これに対して、法人は、所定の手続をすると自由に税金の計算期間(事業年度)を変更することが出来るのです。

 臨時の不動産売却などにより巨額の利益が出てしまう場合、それが事業年度の最初であれば、その後に税金対策を講じることも可能でしょう。しかし、事業年度の最後のほうだと十分な対策が出来ず、そのままだと莫大な税金を負担する羽目になってしまいます。

 こうした場合、事業年度を変更し、巨額の利益が出る前に事業年度を終了させてしまい、次の事業年度で税金対策を講じる、といった芸当が、法人であれば可能となります。



 如何でしょうか?1〜4は、実際の支出自体は変わらないのに、法人であるが故に節税が可能となるもののうち影響が大きいもの、5〜7は、制度上のしくみから、法人だけに与えられた節税方法をご紹介しました。

 この他にも、詳細は割愛しますが、慶弔見舞金の支給、食事代補助、永年勤続者の表彰、通勤手当の非課税枠活用、など、個人事業者では出来ない、法人にだけ与えられた様々な節税方法があります。




その3 法人成りの税金以外のメリット



  法人成りのメリットは、税金関係だけに留まりません。「その3」では、そのうちの代表的な幾つかをご紹介します。


1. 助成金


 借入金と違って、「元本の返済必要なし、利息もなし」の助成金は大いに活用したいものです。助成金の多くは、雇用に関するものですが、その他に、教育訓練や技術革新についてのものもあります。

 法人成りして会社を設立すると、助成金を受けやすくなります。それは、そもそも法人のみを対象とした助成金は個人事業では申請すら出来ない、ということに加えて、法人の方が資格要件を満たしやすい、といったところがその理由となります。

 個人事業では、事業に取組む姿勢を客観的な事実として示しにくいものですが、法人の場合は、法人であるという事実そのものが、事業に取組む姿勢を客観的な事実として示すことができるからです。

 もちろん、法人であるだけで簡単に審査が通るのか、というと、そうではありませんが、個人事業と比較すると、スタート地点がそもそも異なる、という表現が適切になるでしょうか。


2. 事業継続


 普段はあまり感じないことですが、相続や離婚といった場合に、法人と個人事業では、その対応に大きな差が生じます。相続や離婚が発生した場合、たとえ事業で使用していたものであっても、個人事業だと、銀行口座や不動産などの資産も分割の対象となるので、円滑な事業継続の大きな障害となります。

 それに引き換え、法人だと、法人名義で事業に使用しているものは、相続や離婚における直接の分割対象とはなりません。これは極めて重要なことで、銀行口座をとりあげてみても、これが凍結されれば、資金繰りや支払にすぐ影響がでてきます。

 また、対外的にも、法人であれば、組織として事業をしているので、代表者が死亡しても、事業はそのまま継続されることになります。これに対し、個人事業の場合は、このようにスムーズにはいきません。

 しかし、中小企業の場合は、代表者個人の力量に負うところが大きいので、しっかりと後継者を育成しておかないと、単に「法人という組織で事業をしている」というだけでは、円滑に事業は継続できません。


3. 取引


  法人であることが、取引の前提となることが少なくありません。個人事業では、「門前払い」ということです。逆に云うと、法人であれば、取引の間口が一気に広がるのです。

  法人でなければ、「免許が取得できない」「入札に参加できない」といった場合は、法人成りは必須です。また、大手企業との取引も、法人であることが前提になっている場合が多いようです。

  インターネットのオンラインショッピングは、店舗を構える必要がなく、人件費もかからず、年々利用者が増加している、という性質を持ち、事業者にとっては極めて魅力的です。しかし、ヤフーや楽天などでは、事実上、出店を法人に限定しているなど、個人事業が入り込むにはかなりハードルが高いのが現実です。


4.保証人


 事務所や店舗を借りる場合、個人事業だと、事業主個人が契約者となり、その保証人として、第三者が要求されます。しかし、法人の場合だと、保証人は代表者個人がなるケースがほとんどで、第三者の保証人を必要としません。

 単に法人であるというだけで融資が格段に受けやすくなる、といったことは、現実問題としてはあまり期待できません。しかし、融資を受ける場合にも、個人事業だと第三者の保証人を要求されますが、法人であれば、代表者の個人保証で一般的には対応可能です。つまり、第三者の保証人が不要である、ということです。

 身内ならまだしも、保証人を友人などの第三者には頼みにくいものです。第三者の保証人を必要としない法人は、大きなメリットであると云えるでしょう。


5.有限責任


 個人事業の場合は、事業で生じた全ての負債に対して責任があります。これに対して、法人であれば、あくまでも法人の負債は法人の責任であり、代表者個人にその責任が及ぶことはありません。つまり、法人で大きな損失が発生したとしても、これを代表者が個人的に負担しなければならない、といったことはないのです。

 しかし、現実問題としては、銀行からの借入金などは、代表者の個人保証を負わされるのが通常です。法人と社長が一心同体の同族会社では、この有限責任というものは有名無実である、と云えるのかも知れません。

 ただし、予想もしなかった事態が起こり、会社に大きな損失や負債が発生したとしても、個人保証をしていないものについては、社長が個人としての責任を負わされることはありません。やはり、有限責任は法人成りの大きなメリットの一つにあげられるでしょう。


6.事業売却


 高齢などで現役を引退しようとした場合に、後継者がいなければ、事業を清算しなければなりません。事業そのものは順調であれば、その事業を売却することが出来ますが、個人事業だと、資産や負債の名義の問題があり、事務手続きに大変な労力と時間を要します。

 これに対し、法人だと株式を売却すれば、特段に複雑な問題は発生しません。株式の所有者が法人の所有者とされるため、法人名義となっている不動産、銀行口座、借入金などについては、全てそのままでよいのです。このように、スムーズに事業が売却できるのも、法人成りのメリットです。


7.社会保険


 必ずしも全ての場合に当てはまるわけではありませんが、同じ所得の場合、一般的に厚生年金や健康保険の方が国民年金や国民健康保険より保険料が高額です。特に同族会社の場合は、法人負担分も社員負担分もお財布は同じなので、負担は単純計算で倍になります。

 しかし、厚生年金や健康保険の方が国民年金や国民健康保険より保障が格段に手厚いのは厳然とした事実です。純粋な従業員(他人)分の負担がない夫婦を中心とした親族だけの同族会社であれば、加入するのも選択肢の一つ(本来は、選択の余地なく強制加入ですが・・・)です。

 個人事業だと、従業員は厚生年金や健康保険の対象となり得ますが、たとえ希望したとしても、事業主と事業専従者はこれに加入できません。これに対し、法人であれば、社長も含めて全ての役員及び社員が厚生年金と健康保険の対象となります。

 価値観の違いがあるので一概には云えませんが、ご自身の「もしも」や「将来」を考えると、加入される方が賢明でしょう。



  このように、法人成りすると税金以外でも様々なメリットが目白押しです。ここまでを読んで、今すぐにでも法人成りしようと考えていらっしゃるあなた、ちょっと待ってください。残念ながら法人成りは良いことばかりではありません。もちろん法人成りするが故のデメリットも存在します。次の「その4」では、そのデメリットについてご説明します。




その4 法人成りのデメリット



  ここまでは、法人成りすることの数々のメリットについてお話してきました。しかし、残念ながら法人成りは良いことばかりではありません。もちろん法人成りするが故のデメリットも存在します。「その4」では、そのデメリットについてご説明しましょう。


1. 事務負担


 個人事業では、何とか自分で会計処理や税務申告が出来たかもしれませんが、法人となると、一気に提出書類も増え、内容も複雑難解になります。これまでに会社で経理をしたことがあるなどの経験がなければ、これを自前でこなすのは、少し厳しいでしょう。

 そうなると、その道の専門家、税理士に依頼するしかありません。しかし、顧問契約を税理士にお願いすると、法人に対する顧問報酬は、小規模法人の場合で「月額3万円、決算料その4か月分、年間約50万円」あたりからが一般的です。この金額に、規模や難易度に応じて顧問報酬が加算されていきます。

 決して少なくないこの金額は、ある程度の負担になることは間違いありません。しかし、専門家のアドバイス一つで数万円、数十万円異なってくることも少なくないのが税金という代物です。顧問報酬以上に税金が安くなることも決して珍しくはありません。

 また、慣れない経理処理や税務申告から開放されて、より自分の本分にパワーを集中し、売上を伸ばすことが出来るできる、といったプラス面も見逃すことは出来ないでしょう。

 このように考えると、税理士に顧問契約をお願いすることは、必ずしもデメリットであるとは言い切れません。どのように判断するかは、その人の価値観によるでしょう。


2. 登記費用


  新会社法が2006年5月1日から施行となり、従来と比較すると簡単に会社設立が出来るようになりました。それでも、法人成りして会社設立をすると、ある程度の費用がかかります。設立する会社の種類によりますが、登録免許税等に10〜30万円の費用が必要で、手続を行政書士などの専門家に依頼すれば、更に10万円くらいの報酬がかかります。

  これに対して、個人事業の場合、開始するにあたって特別な費用は発生しません。開業届けなどを税務署等に提出するだけです。


3. 法人住民税


  個人事業は、赤字だと所得に課される税金は発生しません。しかし、法人の場合は、たとえ赤字であったとしても、個人事業では課されることのなかった地方税が、年間7万円(最も小規模の法人の場合)必ず発生します。


4. 税務調査


  個人事業よりも法人の方が、税務調査を受けることが多いようです。これは、単に「法人だから」というよりも、個人事業よりも法人の方が一般的に事業規模が大きいため、税務署としても税務調査を重点的にする、ということのようです。

 よって、個人事業であっても、事業規模がある程度になれば、税務調査を受ける回数も自然と多くなります。そうすると、「個人事業よりも法人の方が、税務調査を受けることが多い」ということは、法人成りとは直接の関係がないと云えるでしょう。


5. 交際費


  個人事業には交際費の金額に上限はありません。しかし、法人だと費用の対象となる金額は年間400万円までで、更にその400万円までの支出金額のうち9割のみが費用となります。ちなみに一定規模以上の大きい会社では、交際費は全額費用とすることは出来ません。

  では、個人事業だと交際費は使い放題なのか、というと、そう甘くはないのです。金額に制限がない分、事業との関連性を税務調査では厳しくチェックされます。また、小規模の会社にとっては、年間400万円という交際費の限度額は、一般的に充分すぎる金額のはずです。しかも全く費用にならないわけではなく、支出金額の9割は費用になります。

  このように考えると、法人成りしても、交際費については、それ程のデメリットは発生しない、と云えるでしょう。


6. 社会保険&労働保険


  人を雇う場合には、個人事業でも法人でも、労働保険(雇用保険及び労災保険)には必ず加入しなければなりません。しかし、年金や健康保険などの社会保険は、個人事業だと、雇用者が4人以下の場合は任意加入です。5人以上の人を雇うと強制加入になります。これに対して法人の場合は、1人でも雇うと強制加入になります。

  これから社会保険は年々保険料が引き上げられていく予定です。経営者の負担額という点についてのみ比較すると、法人の方が個人事業よりも社会保険の分だけ人件費負担は間違いなく大きくなります。

  しかし、厚生年金や健康保険の方が国民年金や国民健康保険より格段に保障が手厚いのも厳然とした事実です。他人を雇わず親族のみで事業をするのであれば、法人にだけ与えられた個人事業にはない大きなメリットであると考えることも出来ます。


7. 日常経費


  電話や保険などにおいては、個人より法人の方が高い料金体系になっています。法人成りするとそれだけコストが余分に発生します。もっとも、小規模の法人の場合、契約は個人で結びこれを法人の事業に使用しているケースも少なくありませんが・・・



  「法人成りのデメリット」は如何でしたか?法人成りは良いことばかりではなく、幾つかのデメリットもあります。しかし、ある程度、事業が軌道に乗ってきたら法人成りすることをお勧めします。何故なら、法人成りして得られるメリットは、これらのデメリットを補って余りあるからです。




その5 法人成りの手続



 これまで、法人成りすることの数々のメリットと若干のデメリットについてお話してきました。「その5」では、2006年5月1日から実施されている新会社法を踏まえて、どの形態の法人にすればよいのかを中心にご説明致します。


1.会社設立の費用


  会社設立に当たって、やはり、先立つものはお金です。開業届だけを提出すればよい個人事業と違って、会社設立をするにはお金が必要となります。会社形態の種類によって、その会社設立の費用も異なってきます。

  会社設立の法定費用が最も高いのは、株式会社です。登録免許税15万円、印紙代4万円、定款認証手数料5万円、合計で24万円になります。これに対して、LLC・LLP・合資会社・合名会社は、登録免許税6万円及び定款印紙代4万円の合計10万円のみで、株式会社では必要とされる定款認証手数料は発生しません。

  この他に、どの形態の会社を設立するにしても、多少の雑費や印鑑作成費用が必要です。手続を行政書士などの専門家に依頼した場合の報酬は、10〜15万円程度が業界相場になっています。


2.課税方法


  LLPは法人ではないため、その利益は個人(法人の場合もあるので、厳密には構成員)の所得に合算され、LLP自体には課税されません。これに対し、株式会社、LLC、合資会社、合名会社は法人であり、法人の利益には法人税が課されます。

  「法人だと、法人段階で法人税が課税された後、さらに個人段階でその配当に対しても課税されてしまう。これに対し、LLPはLLP段階での課税がなく、課税は個人に対してだけなので、とってもお得!」といった論調を時折見受けます。しかし、話はこれ程単純ではありません。どちらが良いのかは一長一短なのです。

  利益が出た場合、LLPだと、その利益は直接個人の所得に合算されます。これに対し、法人だと、利益を配当として個人に分配するのではなく、その全額を給与という扱いで個人に支払うことが出来ます。すると、法人としての利益はなくなるため、法人に対する課税はなく、個人の給与所得に対する課税のみになります。

  その個人に対する課税は、給与所得控除がされた後の所得に対して課税されることになります。つまり、概要としては、法人形態の方がLLPよりも、給与所得控除分だけ税金は少なくなる、ということです。

  損失が出た場合だとどうなるでしょう。LLPでは、出資金額を限度として、その損失額を個人所得と損益通算することが出来ます。しかし、法人だと、「法人の損失はあくまで法人のもの」という取扱いなので、法人の損失を個人所得と損益通算させることは出来ません。

  この様に考えると、利益がある程度見込める場合は、給与所得控除が活用できる法人形態が、ハイリスク・ハイリターンで損失が発生する可能性が高い場合は、損益通算できるLLPが、それぞれ適していると云えるでしょう。


3.会社設立後の維持費用


  株式会社・LLC・合資会社・合名会社といった法人は、赤字であっても、最低7万円の地方税を毎年必ず負担しなければなりません。これに対し、LLPは法人ではないので、この7万円に該当する税金はありません。

  この他、株式会社は、取締役等の役員任期が最長で10年(一定の場合)のため、その度に役員登記の費用が発生します。決算公告の義務も課されているため、そのための費用も毎年必要です。

  これに対し、LLC・LLP・合資会社・合名会社などには、役員の任期に該当するものはなく、また決算公告の義務もないため、株式会社で発生するこれらに伴う費用はありません。


4.出資者の責任範囲


  株式会社・LLC・LLP・合資会社の有限責任社員は有限責任、合資会社の無限責任社員・合名会社は無限責任になります。

  有限責任の場合、債務の支払い義務が及ぶのは法人の資産の範囲内だけで、個人の財産にまで責任が及ぶことはありません。これに対し、無限責任の場合は、個人の全財産を取り崩してでもその支払い義務を負わなければなりません。


5.経営の自由度


  株式会社は、株主総会や取締役の設置が義務付けられており、場合によっては、取締役会、監査役、会計監査人などの設置が必要になることもあります。

  これに対して、LLC・LLP・合資会社・合名会社には、そのような設置義務がなく、定款等で自由に組織を設計することが出来ます。

  とは云っても、株式会社も一人で設立出来るようになったので、経営の自由度という点では他のものと実質的に同じである、といってもよいでしょう。役員は社長一人だけ又は奥様などの親族だけ、といった構成であれば、株式会社であっても経営の自由度に特段の違いは発生しません。

  ただし、株式会社には、株主総会の開催やその議事録の作成保管などが義務付けられているので、この分の手間はかかります。


6.出資者の数


  株式会社・LLC・合名会社は1人でも設立できますが、LLPと合資会社は最低2人必要です。


7.信用度


  やはり「ネームバリューや聞こえの良さ」といった点では、株式会社が勝っているでしょう。しかし、ただ「株式会社である」というだけで信頼され、条件の良い取引ができるほど、世の中は甘くはありません。

  個人で起業するのであれば、その人の人柄や能力といったものが、当然のことながら重要視されます。法人(特に小規模なもの)であっても、信用という点では、個人事業と同じです。

  株式会社という会社の形態があなたのビジネスモデルにとって本当に必要とされるのかをよく吟味し、事業の実態に適したものを選択することをお勧めします。


8.会社設立の手順と日数


  会社設立の手順については、株式会社が最も複雑かつ煩雑です。それは、定款の公証役場での認証、取締役会の開催、といった他にはないものが、会社設立の手順にあるためです。このため、会社設立に要する日数も1ヶ月程度は必要となります。

  これに対し、LLC・LLP・合資会社・合名会社は、公証役場での認証が設立にあたって必要とされません。このため、株式会社と比較すると、簡単に設立をすることが可能です。早ければ数日、遅くても2週間もあれば大丈夫でしょう。



  さて、ここまで色々と説明してきましたが、結局、どの会社形態が一番良いのでしょうか?これは会社設立をする理由にもよるので、一概には云えませんが、私どもが顧問先として想定(詳しくは、「最重要事項」を参照)している方にとっては、ズバリ、LLCがお勧めです。その理由としては、

  • 会社設立の費用が安い
  • 法人なので、給与所得控除が可能(損益通算できるのは、LLPだけ)
  • 会社設立後の維持費が安い(地方税7万円もないLLPが最も安い)
  • 有限責任である
  • 会社設立が一人できる
  • 会社設立の手順が簡素で、会社設立に日数がかからない
という具合に、LLCは全てわたって最高得点に近い機能を有しているからです。しかし、状況によっては、株式会社やLLPも検討する必要があります。

  特に株式会社に対する人気は根強いものがあります。会社法改正前は、最低でも資本金が1000万円必要でしたが、これも廃止され、設立に対するハードルはかなり低くなりました。「せっかく会社設立をするなら、株式会社にしよう」というお考えが多いのも事実です。

  LLPは、個人である程度の所得のある人が「ハイリスク&ハイリターン」の事業を手がける場合には、上記の中で唯一損益通算が可能なので、検討に値します。しかし、単に「設立費&維持費が最も安い」という理由だけで選択するのは、賢明ではありません。

  最終的にどの会社形態にされるかは、あなたの価値観の問題です。充分に時間をかけて検討し、自分にとって最適な会社形態を選択してください。なお、LLCという会社形態が新設された現在、合資会社や合名会社を選択する積極的な理由はみあたらないと考えます。 




  「会社設立 夫婦でやろう! −法人成りのメリット&デメリット−」の説明は以上をもって終了となります。法人成りのメリットを十分ご理解頂けたのではないでしょうか。必ずしも法人成りすることが良いとは限りませんが、個人事業もある程度の規模になった場合、節税対策も含めて、法人成りを検討してみる価値は充分にあります。皆さんの事業の一助になれば幸いです。

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  私どもは、次のような方を顧問先として考えています。この5つの項目にどれも該当しない場合、顧問税理士や顧問社会保険労務士として、私どもはあなたにとっておそらく適当ではありません!他の税理士事務所や社会保険労務士事務所をお探し下さい。 


  1. 税理士や社会保険労務士を経営パートナーとして位置付け
  2. 鎌倉市・藤沢市及びその周辺地域で自宅開業
  3. 年間売上が5000万円以下で、社員は奥様などの親族が中心
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  少しでも多くの顧問先を獲得するために、どこの税理士事務所や社会保険労務士事務所も、広範囲の地域のありとあらゆる業種や規模の会社を対象として、営業活動を展開しています。

  では、何故、私どもは「鎌倉市・藤沢市及びその周辺地域(茅ヶ崎市・逗子市・横浜市など)で自宅開業」に限定するなど、顧問先を最初からこのように絞り込んでいるのでしょうか?どうしても譲ることの出来ない税理士や社会保険労務士としての私どもの「こだわり」とは・・・


                 税理士や社労士としての私どもの「こだわり」とは


 
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  何故なら、このようなお題目でメルマガを創刊すると、必ずちまたに溢れる広告収入目当ての迷惑メルマガに陥ってしまうと確信しているからです。それでは、メルマガ「湘南鎌倉 商い知恵袋」の発行趣旨とは、一体何なのでしょう?

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  吾輩は“犬”である。根城は鎌倉市・藤沢市あたりの界隈だ。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でワンワン泣いていた事だけは記憶している。

  吾輩はここで初めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは税理士と社会保険労務士という人間の中で一番可笑しな種族であったそうだ・・・

       
最新号 5月18日 お土産話


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